2011 2月 24

Nagiosの障害通知方法は、メールとアラート音だ。
しかし、実際のデータセンターでの運用では障害が発生すると、顧客に障害コール(電話通知)をするケースが多い。
場合によっては、障害発生後xx分以内などの指定を受けるケースもある。
そんな場合、自動的に障害コールできたら便利ではないだろうか。
つまり、Nagiosが障害検知をしたらメールを自動送信するように、電話を自動で掛けてくれたらどうだろうか?
今、このような仕組みを利用するユーザが増えているという。
メールは気がつきにくいが、電話は気がつきやすいというメリットもある。
この仕組みを自分で作ろうと思えば、ちょっと敷居が高いが、そんなサービスがあるとしたらどうだろうか?
障害発生時に自動的に電話をかけるサービスがある。
今回は、2つの自動障害コールサービスについて紹介する。
 



 

アラートコール

以前も紹介したエージェントレス監視製品パトロールクラリスの開発元である株式会社コムスクエアが提供するASPサービスだ。
障害検知時にアラートコールシステムのCGIをコールすることで、アラートコールシステムから電話を掛けることができるというものだ。
基本的にはパトロールクラリスのSaaSであるパトロールクラリス・クラウドのオプションメニューとしての位置づけだが、それ以外の現在ユーザが使用している監視システムからの要求も場合によっては受け付けてくれるそうだ。(要相談)
Nagiosでアラートコールを利用する場合、アラートコールシステムのCGIをコールする通知コマンドを作成してやればOKだ。
 
アラートコールの価格はというと

費用 備考
初期費用 50000円
月額利用料 10000円 10回/月まで。11回目以降は1アラートコールごとに500円加算。

 

SPEED Call

こちらは、高知県の有限会社ナインレイヤーズという会社が提供するサービスだ。
監視+通知(メール、電話)といったサービスとなっているが、メール連携機能で他の監視システムとの連携が可能だ。(他の監視機能との連携
NagiosでSPEED Callを利用する場合、特定のフォーマットでSPEED Callシステムにメールを送信することで、SPEED Callとの連携を行うことが可能だ。
現在の通知コマンドをカスタマイズすればOKだ。
SPEED Callでは、NagiosやMRTGとの連携も考慮されており、NagiosやMRTG側での設定マニュアルも用意されている。
 
SPEED Callの価格はというと

費用 備考
初期費用 2625円
月額利用料 2625円 6回/月まで。7回目以降は1通知ごとに42円加算。

 

アラートコール vs SPEED Call【価格】

すでにお気づきのことと思うが、価格は実に1桁違う。
障害コールの回数が、毎月10回、20回、30回の場合の月額使用料は以下のようになる。
 

アラートコール SPEED Call
毎月10回 10000円 2793円[=2625円+(4回×42円)]
毎月20回 15000円 3213円[=2625円+(14回×42円)]
毎月30回 20000円 3633円[=2625円+(24回×42円)]

 
価格だけで考えたら圧倒的にSPEED Callだろう。
 

アラートコール vs SPEED Call【連携方法】

次に、それぞれのシステムとの連携方法を考えたい。
アラートコールはCGIでの連携であるのに対して、SPEED Callはメールでの連携となっている。
メール(SMTP)自体は、リアルタイムに必ず相手に配達されるプロトコルではないため、遅延や未達が生じるのが当たり前の通信だ。
そのあたりの信頼性を考えるとCGIでの連携のほうが確実そうだ。
CGIであれば、SSLでの通信の暗号化もされていそうだ。(実際にアラートコールで暗号化されているかどうかは不明だが)
メールでも暗号化ができるだろうといわれそうだが、SPEED Callのマニュアルをざっと見た限りでは、暗号化はされていなさそうだ。
そこまで言ったら、そもそもNagiosから送信される通知メールだって、届かないかもしれないし、暗号化もされていないじゃないかという話もあるだろう。
確かにその通りだ。
だから、アラートコールは現在のNagiosの通知メールより着信の信頼性がありますよというサービスで、SPEED Callは現在のNagiosの通知メールと同等の信頼性のサービスですよ、ということができるだろう。
 

アラートコール vs SPEED Call【機能】

また、機能面で見てみると、SPEED Callは、ライブドアの無料監視サービスであるデータホテルパトロールからも利用することができ、携帯からの操作も可能となっている。
一方、アラートコールは、単に電話を掛けるだけの機能しか提供していない。
このあたりは、利用者側にとっては大きな差になるのではないだろうか?
おそらく大半の利用者が、携帯電話への障害コールを選択するのではないだろうか?
その場合、携帯電話から操作できるのとできないのとでは、どちらが便利かは言うまでもないだろう。
このあたりの機能は、アラートコールが後追いで提供を開始するのか、それとも、アラートコールはシンプルに自動障害コール機能の提供だけにとどまるのかは、興味が惹かれるところだ。
 

まとめ

自動障害コール機能については、今後是非とも使ってみたいサービスのひとつだ。
但し、既存のお客様の中には、人間と話したい、オペレータから状況を詳しく聞きたいという理由で、障害コールを希望される方々もいるのは確かだ。
このような希望を持たれるお客様は、ほとんどがエンドユーザなので、この手のサービスはSirやシステム管理者などの技術者向けのサービスなのかもしれない。
また、どうして、ここまでの価格差が出るのかが疑問だ。
アラートコールは通常の電話回線で、SPEED CallはIP電話を利用しているのだろうか?
疑問点は、まだある。
音声の品質だ。
おそらく双方とも、自動音声を使用しているのだと思うが、ここまで価格差があると、アラートコールはむちゃくちゃ音声が良くて、SPEED Callは音声が良くないのではないかなどと勘繰ってしまう。
ともあれ、アラートコール vs SPEED Callという観点では、今のところ、自分が使うとしたら、SPEED Callだろう。
しかし、それ以上に自分で作ってみたいと思うシステムのひとつでもある。
 
 

 


Categories: Nagios ,コラム


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